Azul Tierra 編

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Azul Tierra 編

筆者が現在生活をしているスペイン・バルセロナを中心に、足を運んだインテリアショップで目に留まったものやお店の印象などについて個人的かつ主観的な目線で書き記します。

Azul Tierra とは

いくつものソファや長テーブル、棚がゆったりと並んでいるのに圧迫感がないどころか、それらが小さいものに感じられる…….。実際にはお屋敷のように広い空間以外では扱えないようなサイズのラグジュアリーな家具ばかりだ。

デザイナーでデコレーターであるToni Espuchが手がけるAzul Tierra Barcelonaは芸術的なスタイリングとラグジュアリーな佇まいで他を大きく引き離すインテリアショップ。

1994年に1号店をアリカンテに、2012年に2号店をバルセロナにオープン。今回訪れたバルセロナ店は1,300㎡の店舗面積を誇る。

(下記写真は公式HPより拝借)

わくわくしたもの

入店した瞬間から別世界のインテリアに囲まれる高揚感。家具のサイズがそもそも一般邸宅用ではなく、スウィートルームかお屋敷か……というものなので、Azul Tierraがメインに捉えている顧客層はそういった生活をされる人たちかサロンやプライベートホテルなど特別感のある空間の内装(つまりB to B)だと想像できる。

でも、味わうだけなら一般人にもできる!私の場合、ここまでのラグジュアリー空間を想像しておらずスタッフ全員がスーツ姿で迎えてくれるこのお店に古着スタイルで来てしまったことが急に恥ずかしくなってしまったので、小綺麗な格好でいくとドギマギしなくて済むかな……とは思うけれど、自分が怖気付かなければ問題ない。

考えてみれば、自分の家のサイズ、自分が悩まずに買えるもの以外のものを見れる機会は昨今貴重なのかもしれない。全世界的なSTAY HOMEを経て、業界全体の低迷期が続いてきたインテリアショップはむしろ好機を迎えているとも言える。一方で、実はどのお店もよく似ていてバリエーションに乏しい、という問題は深刻化しているように感じている。

手頃なデザイン・手頃な価格で買えるものを揃えるお店を街やオンラインで見つけるのは簡単なのに、自分の理想の空間を描く栄養になるような素敵なものを見せてくれるお店を見つけることは難しい。

そういう空間を体験するためにホテルやサロンを利用することもできると思うけど、ショールームやAzul Tierraのような店に行ってみるのにお金はかからない。お金をかけなくても好奇心をもってそこに置かれたものや香り、質感やそれぞれの組み合わせを見れば何か自分にとって面白かったことが胸に残るはず。

私が面白いと思ったのは現行品と併せて多くのアンティークの陶磁器類を販売しているところ。どのアンティークも素晴らしく状態がいい(ゆえに高い)。物量もちょっとだけというのではく、どかんどかんと気前のいい陳列なのがこの大きな空間、大きな家具とも釣り合いが取れていて気分がいい。

テーブルコーディネートを見せているいくつかのセクションで、中国や日本などの陶磁器を多用して欧米風のスタイリングがされていたのも面白かった。

気になったもの

伊万里や有田、九谷のような豪華絢爛な絵皿は銀食器やクリスタルなどにも引けを取らない存在感がある。スタイリングだけであればありかも!と思う一方で、欧米の食事と合わせるイメージがしづらい。エキゾチックな強いアクセントだけが浮きあがって、食事を含めたテーブル全体と調和していないことが気になった。

Azul Tierraだけではなくて、テーブルスタイリングにおいて和食器のようなデザインと欧米風のテーブルウェアのコンビネーションはあらゆる価格帯・クオリティで広まっている。和食人気や和食器人気をみると今後もそういったテイストは広く受け入れられていくのだろうな。

考えたこと

日本の陶磁器メーカーや陶房でもソリッドなデザインや国内外のデザイナーとものづくりに取り組んでいるところがいくつもあるなかで、典型的なエキゾチックさではない、産地それぞれの違いを楽しんでもらえるような機会をどうやってつくれるだろう。

Azul Tierraのようなエクストリームではない日常の空間で、テーブルと食事に無理なく馴染む和食器スタイリングにはどんなものが考えられるだろう。やっぱりその国の食文化と切り離せない気がする。食事のボリュームや色合いにスタイリングが合うことは大切。

店舗概要

Azul Tierra
Carrer de Còrsega, 276, 282, 08008 Barcelona
+34932178356
https://azultierra.es/

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