「好きなものがあって羨ましい」と言われたことは一度じゃなかったので、自分にとって苦労して獲得したものではなかったけれど自分はラッキーなのかもしれない。そのくらいのぼんやりとした輪郭でその言葉を受けてきた。また、目の前の人にだって好きなものはあるだろうにまるでないかのように言うのが不思議だった。

より正確に話せば、私は昔から好きなものがはっきりしていると言うよりも嫌いなものがはっきりしていたのだと思う。その結果気に入っているものが好きなものとして際立って見えていた……。私にとってというよりは、おそらく外側にいる人たちから見たときに。

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大丈夫じゃない身体

大丈夫じゃない身体

特に何か持病があるわけじゃない。ただちょっとした不調が増えただけと言えばそうだし、皆口に出さないだけで不調との付き合い方を試したり、鍛えたりしている人のほうが大半なのかもしれない。

でも、そもそもそんなに丈夫だったんだっけ?と最近よく5年くらい前までのことを思い返す。我ながらバリバリと遅くまで働き、いろんな場所に顔を出し、寝食を疎かにせざるを得なかった日々のことを。

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考え、祈り、集中すること

考え、祈り、集中すること

私たちは生まれる場所を選べない。生まれる時代も、たぶん生まれる星も。そのどうしようもないことに時々思い当たり、心底不思議に思う。例えば戦争のニュースを聞くとき。当該国とされる国々の、いずれの市民でもある可能性があった(ある)のではないかということ。

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『愛するということ』と、その後

『愛するということ』と、その後

『愛するということ』(The Art of Loving)はドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者であるエーリッヒ・フロムの著書。初版は1959年、私が読んだ新訳版は1991年に出版されている。最初に出版されて60年以上経つにも拘らず、本書が説く「愛」「愛する技術」は古びるどころか現代ますます切実さを帯びて響いてしまうようだ。(初版当時の物言いや時代ゆえの古さはある。その点、新訳版がおすすめ)

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完璧な関係

完璧な関係

「この人のためなら死ねる」と思ったことは一度だけある。ひとりの他人と同じくらい思い合って、伝え合って、お互いがお互い以外にいないと信じていた時のことだった。

それは恋愛ではなかった。

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そこここに春がくる

そこここに春がくる

モスクワにいるAnnaと通話した。彼女とはバルセロナに暮らしているときに友人になったロシア人で、先日のスペイン旅行で会う約束をしていたのだけどVISAの更新ができずに一度帰国を余儀なくされ、今はモスクワでVISAが降りるのを心待ちにしている。

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、よりもひとりの人間で

、よりもひとりの人間で

先日、15日間かけて母とスペイン・フランスを旅してきた。
当初は父も一緒に行く予定だったものの仕事で都合がつかなくなってしまい、父も揃ってとなるといつ実現するか全く見えない。ここ数年で「行ける時に行かねば叶わない」ということがすっかり身に沁みていたので、とりあえずふたりで行こう!と昨年中に決めていた旅だった。

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