手でつながる街、長野・松本(民芸編)
今年の夏、初めて松本市を訪れた。行きは新宿から高速バスで帰りは「あずさ」に乗って。行きのバスは渋滞で予定よりも1時間半遅い到着になり少しくたびれたものの、東京からのアクセスの良さに驚く。それでも大きな夏雲と北アルプスの山々が街からも見える景色は旅心くすぐるのに十分な非日常だった。
松本はクラフトで有名な街。毎年5月の最終土日に開催される「クラフトフェアまつもと」は全国から気鋭の作家とクラフト好きが集結する日本随一の見本市だ(ということを、以前勤め先で日本のものづくりについて多くのことを教えてくださった日野明子さんから聞いていた)。今年は3年ぶりに開催されたけれど私は未体験で、来年こそは必ずと思っている。その期間の松本はきっとひと際賑わっているに違いないけれど、今回のようにお盆休みがひと段落ついた頃の松本は夏の終わりの気配が漂って少ししっとりしているのが好かった。
クラフトフェアがやっていない時期にも松本ならではの手仕事を感じられる場所は多くある。なんといってもまずは松本民芸館。松本駅近くからはバスで訪問可能(歩けるだろうと行きは45分かけて歩いた私も、帰りはヘトヘトでバスに乗った)。
松本民芸館は1962年に松本の老舗「ちきりや工芸店」の丸山太郎が開館。柳宗悦らの民藝運動に深く感銘を受けた丸山氏によって国内外で蒐集された約6,800点の民芸品が展示されている。2階建ての日本家屋にゆったりたくさん、こまごまと、展示された各地の民芸品は眺めているだけで本当に楽しい。
訪問時は企画展として収蔵品からガラス作品を集めた「ガラスの美」展が開催されており、夏の強い日差しに映える鮮やかな色のガラス作品を見れた。
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