蚤の市便り(DAY12)

蚤の市便り(DAY12)

久しぶりの蚤の市便りです。滞ってしまっていたのはこのウェブサイトの立ち上げ準備をしていたのも理由だけれど、昨年秋から買い付けてきたものがいよいよ結構なボリュームになってきたので日本への発送作業に集中していたから。今回は蚤の市便り、発送編。

毎回買うのはエコバッグで手持ちで持ち帰れるくらいのささやかな量なのに、気がつくと家の中には買い付けた陶磁器や雑貨が山積みで、手持ちで日本に持ち込める量はとっくに超えていた。「いつか」これを梱包して送らなければいけない…….と考えるとあまりに億劫だったので、さっさと送り始めることに決めたのが4月。

必要な備品をバルセロナの東急ハンズ「Servei Estació」で買い揃え、華やかなグラシア通りを段ボールと長い梱包材を脇に抱えて歩いたのが4月末。その間に商用として日本に送る手続きや通関の流れ、INVOICEに必要な情報の整理をネットで調べて英語とスペイン語の書類をつくって、やっとひとつ目の荷物を送り出したのが5月初め。

家から割と近いので大きい荷物でもバルセロナの中央郵便局にいつも行く。この日は最初の出荷を心配したマルタが何かあればスペイン語を助けるよと言ってくれて一緒に行ってもらった。幸運にも担当してくれた郵便局の窓口職員さんが史上最高に親切な人で(英語も喋れた)、中身がほぼ割れ物だと伝えると本当に親身になって相談に乗ってくれたので、心配な点をひとつひとつ確認できた。

郵便局からの荷物では割れ物シールが貼られているからといって特別扱いは期待できず、確証もできない……とその人は申し訳なさそうに何度も説明してくれた。「それはそういうものだと理解している、中身の梱包をできる限りしっかりやったつもりなので大丈夫です、ありがとう」と伝えると、その場で小さな紙切れに何か書いて渡された。

電話番号だった。個人の番号だったので一瞬、困惑してしまったけれど、「日本にいくつか荷物を送るんでしょ、わからないことや不安な点があれば僕のできる範囲で答えるのでいつでも質問して」と満面の笑顔の彼。隣で一部始終を見ていたマルタが「だから私、バルセロナが大好き!」とドラマティックに歓喜する。私も信じられない気持ちで浮つきながら無事に手続きを終えて郵便局を後にする。

きっちり対応してくれる日本の型通りの安心感とは違った親切さに戸惑ったけれど、この街を見ているとそういった類の親切さは日常的にあるんだろうなと感じている。自然と困っている人に手を貸したりするシーンはよく見かけるし、ホームレスのひとにお金だけじゃなくご飯を買って渡したりしているひとを見たのも一度だけじゃない。業務上の親切さは期待できないこともあるけど、こちらの人たちの自然体の親切さはあまりに輝いていて時々すごく眩しい。

ところで先日、無事にその荷物が日本の両親のもとに届いた。送られてきた写真を見ると外の段ボールがベコベコで、「ああ!だめだった」と諦めの気持ちが湧いたほどだったけれど、中身はどうやら無事なようだったのでほっとした。

郵便局の彼には荷物が着いたらどんな様子で着いたのかぜひ知らせてほしい……と言われていたのでもらった番号に写真と共にメッセージを送った。その日のうちにくれた返信には、中身が無事で本当に嬉しい!ということと「次からは中華系の人たちがやっているお店でより丈夫な段ボールを買うといいかも」「ほかに知りたいことがあればいつでも問い合わせて」と前回と変わらない優しさと有難いアドバイスが添えられていた。


ちょっと前に蚤の市で見つけた白い花器は儚げで生花よりもドライフラワーが似合いそうな雰囲気。イギリスの絵皿の童話的なパターンは懐かしのドールハウスを思い出させる。実用するなら甘々なケーキやクッキーを並べたい。

最後の大判の本は1939年に出版されたスペインの仕掛け絵本。花や蝶の妖精たちが主人公。状態はあまり良くないけれど絵はいまだに鮮やか。そして、なんといっても表紙のこのグラフィック。歌うようでなんて素敵なんだろう。

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