蚤の市便り(DAY13)

蚤の市便り(DAY13)

蚤の市以外にも思いもしないものが見つかる場所に、リサイクルショップは外せない。これは個人的な興味の問題でもあると思う。物そのものの魅力を愛しているけれど、同時に物がもつ個人史のようなものに私は惹かれている。

リサイクルショップはアンティーク専門店を謳うお店のようには洗練されておらず、隣り合う物同士も共通点がないことがほとんどで脈絡がない。「店主」の嗜好もない。壊れていないなどの一定の条件を満たしたさまざまな出自のものが平等に棚に並べられる。

自宅の近くにあるリサイクルショップは財団が運営する小さなスペースで、服から家具まで誰でも手に取れるような価格で販売されている。それらの品々は個別に持ち込まれたり、家財の処分を丸ごと引き受けたりしてそのお店に並んでいるそうだ。そこでは、生活で使われた変化がはっきりと見られる、あるいは使おうと思って買い揃えられえたことが感じられる品々が見つかる。

すごく綺麗な状態の良いつくりのものを見つけると、どうしてこんなにいいものがここに?と不思議な気持ちになる。何らかの理由で持ち主にとって不要になったものたち。何らかの理由で持ち主を失ったものたち。私はその確かな理由を永遠に知りえない。

何かを探そうとしてリサイクルショップにきても思った収穫がないことがあるけれど、自分のアイデアにはなかったようなものが見つかることは度々ある。

持ち主が私とは違う年代だったから、違う場所に旅行に出かけていたからか。経験が違う人たちが所有していたものに出会うことはいつも新鮮で、楽しい。

底びっしりに刺繍が施されたトレイ。鮮やかな黄金とターコイズブルーが目を引く、アジアのどこかの国の収穫の景色。イタリア製のキャラメル色をしたコーヒーカップ。この釉薬の色に艶々のコーヒーはきっとよく似合うのだろう。

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